手汗を本格的に治療しようと思うと、手術や注射などいくつか方法がありますね。
中でも手術は一番確実そうというイメージはあるものの、大がかりな手術や副作用といった怖いイメージを持ってしまっている方も多いのではないでしょうか。
このページでは、切らない新しい治療法「ETS手術」について解説していきます。
副作用やリスクの話、開胸手術やボトックス注射との比較もしていますので、ぜひ最後までお読みください。
もくじ
切らない手術「ETS手術」
これまでは手汗を止める手術では、開胸手術といって、胸にメスを入れて神経を切断する手術がとられていました。
しかし開胸による神経切断は大がかりな手術になること、大きな手術後が残るなどの問題があって、普及はしなかったようです。
そこで最近になって採用されているのが、切らない手術「ETS手術」です。
専門的な呼び方は胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(きょうくうきょうかきょうぶこうかんしんけいしゃだんじゅつ)です。
言いにくいですね…
ETS手術の開胸手術の違い
ワキに小さい穴をあけ、そこからカメラ付きの器具を体内に入れ、背骨近くにある交換神経の束を切る手術です。
カメラ付きの器具を入れてする手術を内視鏡手術と呼ばれ、胃カメラや大腸内視鏡なども同じ方法なので、これらの検査や手術をしたことある方はイメージしやすいと思います。
これまでの開胸手術では大きな手術跡が残る問題がありましたが、ETS手術では腋の下に小さい傷は残るものの、ほとんど目立ちません。
手術したその日に帰宅できる(日帰り)ので、体への負担も軽い手術です。
ETS手術の効果
発汗の命令を出している交感神経を切るため、手汗が確実に減ります。
手だけでなく、腋や首の汗も抑えられるようです。
ちなみにETS手術と開胸手術は手法こそ違えど神経を切るという目的は同じなため、得られる効果も同じです。
ETS手術の副作用
神経を切るといっても発汗に関係する交感神経だけを処置するので、「神経を切る」という言葉から連想してしまいそうな危険性や重大な副作用はありません。
手汗が抑えられることによって、他の部位の汗が増えるという副作用があります。
これを代償性発汗といい、ETS手術に限らず交感神経に作用する手汗治療でほとんどの方が感じる副作用です。
手などの体温調節のための発汗も減るため、首や顔が暑くなりやすくなったという人が多いようです。
ETS手術の費用
手汗手術で有名な四谷メディカルキューブでは、手術費用について以下のように書かれています。
当院で手術を希望される方は初診時に術前の検査を受けて頂きます。
その場合の費用は3割負担でおおよそ5千円~6千円となります。多汗症の手術は保険適応になっている手術です。
高額療養費支給制度を適用した場合のおおよその手術費用は以下の通りです。(日帰り入院の場合)
区分(標準報酬月額) 自己負担額 おおよその手術費用 区分ウ(28万円~50万円) 3割 9万円前後
術前検査と手術費をあわせて、およそ10万円が目安といったところでしょう。
高額療養支給制度というのは、高額な医療費が家計の負担になりすぎないようにするための制度です。
1ヶ月内に払った医療費が上限を超えると、その超えた分の金額が支給される制度です。
また、本来であれば一旦医療費を全額払い、あとから申請することで超えた分の額が支給されますが、事前に手続きをしておくとこの「一旦全額払う」という過程を省略できます。
ETS治療で例えれば、28万円の治療費を払い、あとから加入している健康保険に手続きをしたら18万円が返ってきますが、治療の事前に手続きをしておくと、請求時点で10万円になります。(金額はあくまで例えです)
参考サイト:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省
開胸手術、ボトックス注射との比較
従来の手汗手術である開胸手術と、手汗の治療で比較されることの多いボトックス注射と比較してみます。
治療名 | ETS手術 | 開胸手術 | ボトックス注射 |
持続性 | 半永久 | 半永久 | 3か月~1年 |
副作用 | 代償性発汗、首や顔の暑さ | 代償性発汗、首や顔の暑さ | 代償性発汗、しびれ |
手術跡 | ほぼ目立たない | 大きな傷跡が残る | 残らない |
治療期間 | 日帰り | 入院 | 日帰り |
費用 | およそ10万円 | 不明 | 5~15万円 |
普及しなかったと言われるだけあって手汗の開胸手術について書いてあるサイトが少なく、入院期間や費用について詳しい記述が見つけられませんでした。
私が過去に受けた手術から考えると、入院期間1~2週間、手術費30万円ぐらいかなと思います。(あくまで感覚レベルです)
手術以外の本格的な治療法
ボトックス注射をはじめとする手術以外の治療法についてはこちら
⇒病院でできる手汗の治療法を総まとめ!費用・持続性・特徴など徹底比較!
まとめ
ETS手術についての解説でした。
手術と聞くとどうしても怖いイメージが拭えませんが、手汗の手術に限って言えばかなり敷居は低くなってきています。
ひどい手汗に苦しみ続けるくらいなら、ETS手術も選択肢のひとつとして考えてみてください。
もし塩化アルミニウムや手汗制汗剤など、自分でできる本格的な手汗対策がまだでしたら、手術に悩む前にそちらを試してみるのも手です。